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文化財デジタル複製置き換え問題:そうだ 南禅寺、行こう。
京都の社寺の襖絵などを、
デジタル複製で置き換えることの問題について、
ここやらここやらに書いてきた。

このたび、南禅寺方丈の狩野派襖絵の新作デジタル複製が完成し、
ホンモノと置き換えられたので、見学してきた。

制作から50~100年後を想定して復元したというが、
どこまで本気でそう言ってるのか、不思議に思った。

とくに、金箔をプリントで再現するのは、
いまの技術では不可能なので、無惨な結果になっている。

ところで、いま南禅寺では、方丈の元信や永徳は複製品で置き換えられたけど、
小方丈の探幽はオリジナルのままという、興味深い状態がみられる。

ホンモノとデジタル複製の違いを見比べることができる、絶好の機会なのだ。


「そうだ 南禅寺、行こう。」といいたい。
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テーマ : art・芸術・美術
ジャンル : 学問・文化・芸術

日本ではわからないACTA:欧州各国での抗議デモについて
BBCでは報道があったが、
やはり日本の大手メディアは速報しなかったようなので、
内容が生煮えで誤解があるかもしれないが、ここに書いておく。

昨日(2月11日)に、欧州各国でACTAに抗議する一斉デモがあった。

ACTAは、Anti-Counterfeiting Trade Agreementのことで、
日本では「模倣品・海賊版拡散防止条約」といっていたが、
いまは「模造品の取引の防止に関する協定」という仮訳になっている。

これは2005年のグレンイーグルス・サミットで、
日本の小泉首相が提唱した枠組みなのだ。

その後、日本、豪州、カナダ、EU、韓国、メキシコ、モロッコ、ニュージーランド、シンガポール、スイス、米国のあいだで極秘のうちに交渉が進んだ。
日本は提唱国の位置づけだが、実際の交渉は米国が先導したとみられる。
日米が共同でまとめた交渉といえるだろう。

昨年10月1日に豪州、カナダ、日本、韓国、モロッコ、ニュージーランド、シンガポール、米国の署名式が日本で行われた。
また、今年1月26日にはEUとその加盟国のうち22ヶ国(EU、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、イギリス)が、やはり日本で署名した。

日本では署名式があったことくらいは、小さなニュースになったが、
そもそもこんな交渉を日本と米国が主導し、野田政権が署名まで済ませていることを、
日本のほとんどのひとは知らない。

ところがEUでは、
ネットの自由を縛る恐れのある協定に、
国民への説明なしに勝手に署名したというので、
1月26日以後、抗議運動が盛り上がっていった。
そして、これまでで最大の一斉デモが、昨日あったというわけだ。

Facebookの情報では、抗議デモは約200都市で予定され、
40万人が参加を表明していた。
じっさいどのくらいの人数が参加したかの情報はまだ伝えられていないが、
最小限に見積もっても、4万人は極寒の街に繰り出したのではないかと、ぼくはみている。

仮に参加者が4万人だったとしても、残りの36万人はACTA賛成に回ったということではない。
欧州議会への請願サイトでは、これを書いている時点で反対票が220万に達しようとしている。

EUではこれから、各国議会と欧州議会での批准手続きに入りつつある。
ポーランド、チェコ、スロバキアは国内で猛反対が起きて、批准を保留しており、
ドイツも批准するかどうか、慎重に検討するようだ。

なかでもネットの自由を求める運動の象徴になったガイ・フォークスの面を付けてACTAに抗議するポーランドの議員たちの写真は、印象的だ。

EUでは、ACTAがEUで発効するためには、各国議会に加えて6月の欧州議会での批准が必要との立場を取っている。
そのため、欧州議会に向けて、反対運動がつづけられることになりそうだ。

ところが、ACTA自体は6ヶ国の批准等が完了すれば発効する。
たとえ、EUが参加してこなくても、6ヶ国の批准等は得られそうな模様だ。

とりわけ、米国はACTAを議会批准が必要なtreatyではなく、
大統領承認だけでいいexecutive agreementの扱いをしているのが特徴的だ。

日本は前述のとおり、すでに署名を済ませてあり、
たぶん今国会での批准を目指すのだろう。

さて、ここからが問題なのだが、
その日本国民のほとんどは、こういう協定の存在そのものを知らないということだ。
欧州でのデモのことも、メディアは伝えないし、
そもそも、協定文の公式日本語訳すら、いまだに公表されていない。

こうなるともう、政府はACTAのことを、日本国民には知らせまいとしていると思われてもしかたない。

ちなみに、EUでは加盟各国語での公式訳が公表されている。

ACTAについて早くから問題提起していたMIAUさんの有志による日本語訳はここにある。

条文の内容は、スリー・ストライク・ルール(違反を3回したユーザーをネットから閉め出すルール)などは最終合意からは削られ、
当初の懸念と比べたら穏やかなものになってはいるが、
全体として課題だらけの現在の著作権システムを肯定するものになっている。

ACTAが発効しても各国の法律を変える必要はないとはいうが、
日本に限っていえば、デジタル著作物への「アクセス・コントロール」の解釈を広くするための、法改正の後押しとして、ACTAが利用されている。

欧州市民を怒られた最大の原因は、
ACTAの交渉が極秘裏に進められたということにある。

こういったやり方こそが、ネットを武器にした新しい統治を模索している市民にとっては、最大の脅威なのだ。

おなじやり方が、TPPでも取られていることは、いうまでもない。


ACTAの提唱国である日本は、欧州市民に説明する義務があると思うのだが、
自国の国民に対してすら説明しない政府に、それを期待するのは望み薄だろう。

そのうえ、日本外交の影が薄いおかげで、
ACTAは米国が主導したものと思われているようで、
反ACTAが反日に結び付かなくてラッキーという、皮肉な一面もある。


さしあたり、日本国民は、今国会に出てくるであろうACTA批准案に関心を持つべきだと思う。

テーマ : 文明・文化&思想
ジャンル : 学問・文化・芸術

研究の意義は見い出されるもの:『銀座と資生堂』
3・11後や原発事故にかかわる問題に、テーマをシフトさせる研究者が多い。
たいていは、自分が慣れ親しんだ方法で、対象を東北や福島にするといったものだ。

シフトさせる理由はかんたん。

そういうテーマのほうが、研究費を取りやすく、
社会の要請に応えられるからだ。

それは研究者としての、処世術でもある。

しかし、そういう研究者は、もっと大きな社会問題が起きたら、
すぐにそちらへ、足場を移してしまうものだ。

ほんとうに優れた研究テーマは、
社会が動くとその意義が自然に表出する。

戸矢理衣奈 『銀座と資生堂―日本を「モダーン」にした会社―』 新潮社。

かつて(少しだけ)指導したことのある元院生の本をほめるのは、
身びいきに思われてしまうものなので、やや気が引けるのだが、
この本の意義は、それが見い出されるように世の中が動いていった。

震災も戦火も乗り越えて、街とともにブランド価値を作った会社と経営者の物語だ。

著者は東日本震災が起こる約半年前に、この本のもとになる論文で博士号を得ていた。

開沼博さんの『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』もそうだが、
研究テーマの選定とは、こういうものでありたい。

銀座と資生堂: 日本を「モダーン」にした会社 (新潮選書)銀座と資生堂: 日本を「モダーン」にした会社 (新潮選書)
(2012/01/27)
戸矢 理衣奈

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テーマ : 研究者の生活
ジャンル : 学問・文化・芸術

Twitterはじめてます
先日、Twitterのアカウントを開設しました。

ようやく要領がつかめてきたので、アドレスを公開します。

http://twitter.com/yamadashoji

これからは、著作権関係を中心に専門性と速報性がともに高い情報は、
Twitterで流すことにして、
こちらのブログでは長めのコメントが必要なことを書きます。

ほっこりした話題なども、もっと増やせたらいいなと思っています。

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文化財デジタル複製の是非は?
「寺院の文化財、進むデジタル複製」という記事が、
今日の毎日新聞朝刊に掲載された。

この問題をときどき話し合ってきた、野宮さんの署名記事だ。

残念ながら紙面では関西版のみらしいが、
全文がネットにアップされた。


ぼくは本物をデジタル複製で置き換える場合の、5原則を考えている。

(1)現状のまま複製すること(現状複製)
(2)原本は近くで保存すること(近地保存)
(3)原本を定期的に公開すること(原本公開)
(4)劣化をモニタリングすること(劣化監視)
(5)複製品が劣化したら作り直すこと(複製維持)

残念ながら、これらを完璧に満たしたプロジェクトはない。

専門家は「置き換え」の是非を公の場で語りたがらないので、
議論できる場が少ない。

お寺さんのなさる事には、批判がましいことはいえない。
貴重な作品は、とにかく蔵に入れるべきだ。
専門家のそういう姿勢が、本物の作品を市民から遠ざけていく。

それは長期的には、文化財への市民の関心を下げ、
保存に税金を投じることに同意しないひとを増やすことになるだろう。

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