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つまらない批判、よい批判
20年近く研究者をしているので、
いままでいろんな批判をみたり、聞いたりしてきた。

ぼくの経験のなかから、
「つまらない批判」と、「よい批判」を紹介したい。


まずは「つまらない批判」から。

(1)あなたは、資料のなかの都合のいいとこだけを利用している。

他人のいうことが「気にくわない」ひとが、気軽によく使うのが、これ。
歴史学系に愛用者が多い。
論文にしても口頭発表にしても、枚数や時間が限られているから、
資料の全体を詳しく説明することができない。
だから、自分の議論を組み立てるうえで、
重要な資料しか紹介できないものなのだ。
それを「都合のいいとこだけを利用している」というのなら、
反証となる資料とその重要性を具体的にいってくれと返すべし。


(2)あなたの立ち位置はどこなのか。

ポストコロニアル批判の流行語。
どんな議論にも、自分の立ち位置はある。
自分の立ち位置は自覚しておくこと。
そして「では、あなたの立ち位置はどこなのか」と返すべし。


(3)AとBは分けて考える必要がある。

もとは理系のいい方だったと思うが、
最近は文系のひともよく使うようになった。
分けて考えたら、議論を精密化できるという有効性はあるが、
そのせいで全体がみえなくなることもある。
分けてしまうと実例が少なくなり過ぎるとか、
木をみて森をみずになってしまうというべし。


(4)周辺のことも考慮する必要がある。

これは文系に多い。
全体のなかの位置づけを自覚しておくことは大事だが、
特定の事象を議論しているときに、周辺のことをいわれても、
焦点がぼけるだけだ。
「わたしは○○のことを議論しているのです」と明確な論点を返すべし。


(5)(大先生の名前を出して)「○○先生がいったことと違う」。

最悪の批判。
こういうことをいうひとは相手にしなくてよいが、あえて返すなら、
「先人を超えることが、わたしたちの努めではないのか」というべし。


「よい批判」のしかたは、「つまらない批判」の裏返しだ。


批判の高等テクニックをひとつご紹介。

それは、自己卑下をしながら、相手をチクチク攻めるやり方だ。
相手の足首をつかんで、わが身もろとも引きずり下ろすとでもいうのかな。
(井上章一さんは、この技の名手だ。)

これはなかなか手強いが、
自己卑下の意図を見透かしていってやるか、
自己卑下合戦をして戯れるのもいいかもしれない。


批判される側にとって「よい批判」とは、

知らなかった事実を教わったとき、
自分の見落としや誤解を知らされたとき、
気がつかなかった視点が示されたとき、
思いもよらない関連がみえてくるような指摘をされたとき。

「よい批判」をされたときは、
禅の熟達の老師に棒で背中を打たれたときのような、
清々しい気持ちよさがある。


キャリアや年齢の差はあっても、
討論の場では対等の立場なのだ。
自分のいいたいことを、相手や聴衆にわかりやすく伝え、
相手のいうことに耳を傾けて、
自分の足りないところは認め、
納得できないことは、礼儀正しく問う。
そして、討論の場を離れたら、友人として付き合う。
立場は違っても、友人として付き合ってもらえる人間になる。


生涯の努力目標だ。

テーマ : 思うこと
ジャンル : 学問・文化・芸術

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