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文化財をデジタル複製で置き換えるべきではない
障壁画や屏風などの文化財をデジタル複製で置き換えることの是非について、
ここ1年くらいのあいだにいくつか発言してきた。

ぼくは「置き換え」には長短があるのではと思っていたが、
いまの技術で「置き換え」を進めるべきではないと、結論するにいたった。

先日、ある寺院で、デジタル複製の障壁画とホンモノを、
ほぼ同時にみる機会があった。

いままで、デジタル複製は、ホンモノと何か違うと漠然と感じていたが、
その違いが、あまりにもはっきりしていたからだ。

複製品は全体的に黄緑で、墨の中間調が飛んでいる。
淡い金泥が、複製品ではベタッとした黄土色になっている。
接近観察したら、複製品はあきらかにエッジがボケている。

どうしてこれが「ホンモノそっくり」などといえるのか、まったく理解できない。
こんなものをみせて、これがあの絵師の作品だと思わせるなんて、国民をばかにしてないか?

深刻なのは、ホンモノが収蔵庫に入れられ、
保存環境が急激に変わることによって、
作品が劣化することを指摘する専門家もいるのに、
収蔵庫内での変化について、ほとんどモニタリングされていないことだ。

温度・湿度の安定した暗所なら、
作品は良好に保存されるというのが、
いまの保存科学のテーゼだが、
モニタリングしていないのだから、
収蔵庫内での劣化を証明しようがない。

だが、昔みた作品の記憶から、
収蔵庫内での劣化を感じ取っている専門家もいる。

気づいてはいても、声をあげることができない。
高松塚古墳の壁画消失事件と、おなじ構造だ。

文化庁も美術史の偉い先生方も博物館も多くの寺院も、「置き換え」には積極的だ。
しかもデジタル複製の費用は、ほとんど企業が宣伝費で出してくれる。
「原子力村」ならぬ「文化財デジタル複製村」ができていて、
国民不在の「置き換え」を、毎年数点のペースで進めている。

デジタル化で文化財の活用分野が広がることは否定しない。
だけど、いまの程度の複製技術で、ホンモノを収蔵庫に入れ、
ホンモノがあるべき場所にニセモノを入れていくことには反対だ。

テーマ : art・芸術・美術
ジャンル : 学問・文化・芸術

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