日本ではわからないACTA:欧州各国での抗議デモについて
2012,02/12(Sun)
BBCでは報道があったが、
やはり日本の大手メディアは速報しなかったようなので、
内容が生煮えで誤解があるかもしれないが、ここに書いておく。
昨日(2月11日)に、欧州各国でACTAに抗議する一斉デモがあった。
ACTAは、Anti-Counterfeiting Trade Agreementのことで、
日本では「模倣品・海賊版拡散防止条約」といっていたが、
いまは「模造品の取引の防止に関する協定」という仮訳になっている。
これは2005年のグレンイーグルス・サミットで、
日本の小泉首相が提唱した枠組みなのだ。
その後、日本、豪州、カナダ、EU、韓国、メキシコ、モロッコ、ニュージーランド、シンガポール、スイス、米国のあいだで極秘のうちに交渉が進んだ。
日本は提唱国の位置づけだが、実際の交渉は米国が先導したとみられる。
日米が共同でまとめた交渉といえるだろう。
昨年10月1日に豪州、カナダ、日本、韓国、モロッコ、ニュージーランド、シンガポール、米国の署名式が日本で行われた。
また、今年1月26日にはEUとその加盟国のうち22ヶ国(EU、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、イギリス)が、やはり日本で署名した。
日本では署名式があったことくらいは、小さなニュースになったが、
そもそもこんな交渉を日本と米国が主導し、野田首相が署名まで済ませていることを、
日本のほとんどのひとは知らない。
ところがEUでは、
ネットの自由を縛る恐れのある協定に、
国民への説明なしに勝手に署名したというので、
1月26日以後、抗議運動が盛り上がっていった。
そして、これまでで最大の一斉デモが、昨日あったというわけだ。
Facebookの情報では、抗議デモは約200都市で予定され、
40万人が参加を表明していた。
じっさいどのくらいの人数が参加したかの情報はまだ伝えられていないが、
最小限に見積もっても、4万人は極寒の街に繰り出したのではないかと、ぼくはみている。
仮に参加者が4万人だったとしても、残りの36万人はACTA賛成に回ったということではない。
欧州議会への請願サイトでは、これを書いている時点で反対票が220万に達しようとしている。
EUではこれから、各国議会と欧州議会での批准手続きに入りつつある。
ポーランド、チェコ、スロバキアは国内で猛反対が起きて、批准を保留しており、
ドイツも批准するかどうか、慎重に検討するようだ。
なかでもネットの自由を求める運動の象徴になったガイ・フォークスの面を付けてACTAに抗議するポーランドの議員たちの写真は、印象的だ。
EUでは、ACTAがEUで発効するためには、各国議会に加えて6月の欧州議会での批准が必要との立場を取っている。
そのため、欧州議会に向けて、反対運動がつづけられることになりそうだ。
ところが、ACTA自体は6ヶ国の批准等が完了すれば発効する。
たとえ、EUが参加してこなくても、6ヶ国の批准等は得られそうな模様だ。
とりわけ、米国はACTAを議会批准が必要なtreatyではなく、
大統領承認だけでいいexecutive agreementの扱いをしているのが特徴的だ。
日本は前述のとおり、すでに署名を済ませてあり、
たぶん今国会での批准を目指すのだろう。
さて、ここからが問題なのだが、
その日本国民のほとんどは、こういう協定の存在そのものを知らないということだ。
欧州でのデモのことも、メディアは伝えないし、
そもそも、協定文の公式日本語訳すら、いまだに公表されていない。
こうなるともう、政府はACTAのことを、日本国民には知らせまいとしていると思われてもしかたない。
ちなみに、EUでは加盟各国語での公式訳が公表されている。
ACTAについて早くから問題提起していたMIAUさんの有志による日本語訳はここにある。
条文の内容は、スリー・ストライク・ルール(違反を3回したユーザーをネットから閉め出すルール)などは最終合意からは削られ、
当初の懸念と比べたら穏やかなものになってはいるが、
全体として課題だらけの現在の著作権システムを肯定するものになっている。
ACTAが発効しても各国の法律を変える必要はないとはいうが、
日本に限っていえば、デジタル著作物への「アクセス・コントロール」の解釈を広くするための、法改正の後押しとして、ACTAが利用されている。
欧州市民を怒られた最大の原因は、
ACTAの交渉が極秘裏に進められたということにある。
こういったやり方こそが、ネットを武器にした新しい統治を模索している市民にとっては、最大の脅威なのだ。
おなじやり方が、TPPでも取られていることは、いうまでもない。
ACTAの提唱国である日本は、欧州市民に説明する義務があると思うのだが、
自国の国民に対してすら説明しない政府に、それを期待するのは望み薄だろう。
そのうえ、日本外交の影が薄いおかげで、
ACTAは米国が主導したものと思われているようで、
反ACTAが反日に結び付かなくてラッキーという、皮肉な一面もある。
さしあたり、日本国民は、今国会に出てくるであろうACTA批准案に関心を持つべきだと思う。
やはり日本の大手メディアは速報しなかったようなので、
内容が生煮えで誤解があるかもしれないが、ここに書いておく。
昨日(2月11日)に、欧州各国でACTAに抗議する一斉デモがあった。
ACTAは、Anti-Counterfeiting Trade Agreementのことで、
日本では「模倣品・海賊版拡散防止条約」といっていたが、
いまは「模造品の取引の防止に関する協定」という仮訳になっている。
これは2005年のグレンイーグルス・サミットで、
日本の小泉首相が提唱した枠組みなのだ。
その後、日本、豪州、カナダ、EU、韓国、メキシコ、モロッコ、ニュージーランド、シンガポール、スイス、米国のあいだで極秘のうちに交渉が進んだ。
日本は提唱国の位置づけだが、実際の交渉は米国が先導したとみられる。
日米が共同でまとめた交渉といえるだろう。
昨年10月1日に豪州、カナダ、日本、韓国、モロッコ、ニュージーランド、シンガポール、米国の署名式が日本で行われた。
また、今年1月26日にはEUとその加盟国のうち22ヶ国(EU、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、イギリス)が、やはり日本で署名した。
日本では署名式があったことくらいは、小さなニュースになったが、
そもそもこんな交渉を日本と米国が主導し、野田首相が署名まで済ませていることを、
日本のほとんどのひとは知らない。
ところがEUでは、
ネットの自由を縛る恐れのある協定に、
国民への説明なしに勝手に署名したというので、
1月26日以後、抗議運動が盛り上がっていった。
そして、これまでで最大の一斉デモが、昨日あったというわけだ。
Facebookの情報では、抗議デモは約200都市で予定され、
40万人が参加を表明していた。
じっさいどのくらいの人数が参加したかの情報はまだ伝えられていないが、
最小限に見積もっても、4万人は極寒の街に繰り出したのではないかと、ぼくはみている。
仮に参加者が4万人だったとしても、残りの36万人はACTA賛成に回ったということではない。
欧州議会への請願サイトでは、これを書いている時点で反対票が220万に達しようとしている。
EUではこれから、各国議会と欧州議会での批准手続きに入りつつある。
ポーランド、チェコ、スロバキアは国内で猛反対が起きて、批准を保留しており、
ドイツも批准するかどうか、慎重に検討するようだ。
なかでもネットの自由を求める運動の象徴になったガイ・フォークスの面を付けてACTAに抗議するポーランドの議員たちの写真は、印象的だ。
EUでは、ACTAがEUで発効するためには、各国議会に加えて6月の欧州議会での批准が必要との立場を取っている。
そのため、欧州議会に向けて、反対運動がつづけられることになりそうだ。
ところが、ACTA自体は6ヶ国の批准等が完了すれば発効する。
たとえ、EUが参加してこなくても、6ヶ国の批准等は得られそうな模様だ。
とりわけ、米国はACTAを議会批准が必要なtreatyではなく、
大統領承認だけでいいexecutive agreementの扱いをしているのが特徴的だ。
日本は前述のとおり、すでに署名を済ませてあり、
たぶん今国会での批准を目指すのだろう。
さて、ここからが問題なのだが、
その日本国民のほとんどは、こういう協定の存在そのものを知らないということだ。
欧州でのデモのことも、メディアは伝えないし、
そもそも、協定文の公式日本語訳すら、いまだに公表されていない。
こうなるともう、政府はACTAのことを、日本国民には知らせまいとしていると思われてもしかたない。
ちなみに、EUでは加盟各国語での公式訳が公表されている。
ACTAについて早くから問題提起していたMIAUさんの有志による日本語訳はここにある。
条文の内容は、スリー・ストライク・ルール(違反を3回したユーザーをネットから閉め出すルール)などは最終合意からは削られ、
当初の懸念と比べたら穏やかなものになってはいるが、
全体として課題だらけの現在の著作権システムを肯定するものになっている。
ACTAが発効しても各国の法律を変える必要はないとはいうが、
日本に限っていえば、デジタル著作物への「アクセス・コントロール」の解釈を広くするための、法改正の後押しとして、ACTAが利用されている。
欧州市民を怒られた最大の原因は、
ACTAの交渉が極秘裏に進められたということにある。
こういったやり方こそが、ネットを武器にした新しい統治を模索している市民にとっては、最大の脅威なのだ。
おなじやり方が、TPPでも取られていることは、いうまでもない。
ACTAの提唱国である日本は、欧州市民に説明する義務があると思うのだが、
自国の国民に対してすら説明しない政府に、それを期待するのは望み薄だろう。
そのうえ、日本外交の影が薄いおかげで、
ACTAは米国が主導したものと思われているようで、
反ACTAが反日に結び付かなくてラッキーという、皮肉な一面もある。
さしあたり、日本国民は、今国会に出てくるであろうACTA批准案に関心を持つべきだと思う。








