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違法ダウンロード罰則化 拙速な刑事罰化に危うさ(記事転載)
以下は、共同通信社からの依頼で執筆し、4月20日に配信していただいた記事です。同社の了承が得られましたので、ここに転載します。確認できた範囲では、4月21日の山陽新聞と、同29日の高知新聞に掲載されています。(一部に誤謬があったので6月2日に訂正しました。)




「違法ダウンロード罰則化 拙速な刑事罰化に危うさ」
山田奨治

 民主党や自民・公明両党が、今国会で著作権法を改正して、ネットに違法にアップロードされた音楽・動画ファイルだと知りながらダウンロードした者に、懲役などの罰則を科すことを検討している。「違法ダウンロードはCDやDVDを盗むのと同じで、窃盗には刑事罰がある」というのが改正論者たちの論理だ。

 だが、この論理には無理がある。著作権は、土地や物になぞらえて考えられた疑似的な所有権で、それら有体物の所有権ほど強いものではない。著作物の利用がもたらす便益と、著作権者保護のバランスのうえに認められた権利だ。したがって、保護が強くなり過ぎる場合は、著作権は制限される。

 いまの著作権法では、仮に違法なファイルのダウンロードでも、私的使用のためならば刑事罰までは科さない原則をとっている。仮に捜査するとなれば、個人が所有するパソコンに保存されたデータや通信記録を調べる必要があり、家庭の中にまで公権力が強く及ぶ危険性を避けるための配慮といえる。著作権を侵害したファイルのダウンロードが2010年に違法化された際も、法改正の妥当性を検討した文化審議会の小委員会で、その原則が確認されている。

 それから2年しかたっていない。10年の法改正では、違法なアップロード行為に刑事罰が科されることにもなったが、効果はどうだったのか。違法行為で大きな損害を受けていると主張する、音楽などのコンテンツ産業の売り上げは変化したのか。そういった点の検証結果を明らかにせず、今度はダウンロードに刑事罰を科そうとするのは拙速というしかない。

 今回の法改正案には危うさがある。憲法で保障された「通信の秘密」を侵さずに捜査できるのか。警察の権限が強くなりすぎはしないか。合法・違法双方のファイルが混在するネットから無意識にダウンロードした個人、とりわけ青少年の責任をどこまで問えるのか。何が違法か分からない状態になれば、消費者が合法なネットサービスの利用までも敬遠しないか。

 今回の問題点は、法改正に向けて政界が動きだすに至る道筋が不透明で、音楽・映像業界の意向のみが反映された形になっていることにもある。議論が各党内や政党間の水面下の交渉で進められ、国民に対する説明が何もないまま法改正されようとしている。

 違法ダウンロードによって、コンテンツ業界に被害が出ていることは確かだろう。しかし、そういった行為がはびこる背景には、音楽や映像を視聴する若者らのコンテンツ利用形態が根本的に変化していることがある。限られた所得の範囲でより多くの作品に接し、デジタル機器を駆使した二次創作をも楽しみたい。例えば、そんな要望に応えるネットサービスを合法的に提供できないのか。政治家も業界も、「違法は違法」と切り捨てるのではなく、消費者との対話の回路をもっと開いてはどうだろうか。

テーマ : 伝えたいこと
ジャンル : 学問・文化・芸術

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