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TPP知財分野で多数派を形成する方法を考えてみた
TPPの新しいリーク文書が出た。
(邦訳は@fr_toenさんのブログにある。)
2013年11月19〜24日にソルトレーク・シティーで行われた
首席交渉官会議のときの資料のようだ。

項目だけみても、関税や知財だけじゃなく、
生物多様性や気候変動まで入っていて、
別の国際機関でケンケンガクガクやっているはずの交渉を、
アメリカ基準でまとめてしまおうっていうのだから、
これが単なる経済交渉じゃなくて、
アメリカ中心の世界秩序作りだということが知れる。

ほんとうはこういうのは、全体をみて考えないといけないのだろうけど、
それはぼくの頭ではできないので、
関心のある知財に限って、
どうやったら日本が多数派を形成できるか考えてみた。
(おまえ、そんなことしている場合か!という罵声が飛んできそうだが。)

元データは上記のリーク文書にある表とする。
ただし、この表自体がかなり単純化されたもので、
実際の交渉はもっと複雑怪奇なものなので、
しかもいまの状況はもう変わってしまっているだろうから、
まあ、交渉官の苦労を知るための、お遊び程度にみてほしい。

まず、知財分野に限って、各国のポジションを主成分分析してみた。
第2主成分までの累積寄与率は72.6%ある。
(手法の詳細は、いまは省く。)

TPPIP_PCA.jpg

一見してわかるのは、アメリカとオーストラリアのぶっ飛びぶりである。

でも、これら2国を除くと、
ほかの10カ国は、けっこう固まってるんじゃないの?とみえる。

日本といちばん立場が近そうなブルネイ、ベトナムとの相違を
@fr_toenさんの表でみてみると、
「特許:特許性クライテリア」(BN,VN:反対; JP:保留)
「特許:新利用への保護拡大」(BN,VN:反対; JP:保留)
「著作権:ISP(チリ提案)」(BN,VN:賛成; JP:保留)
「商標:匂いの商標の導入」(BN,VN:保留; JP:反対)
「地理的表示:他の条約で認められた……」(BN,VN:反対; JP:保留)
「地理的表示:翻訳された地理的表示の……」(BN,VN:反対; JP:保留)
「地理的表示:地理的表示の存在が……」(BN,VN:反対; JP:保留)
となる。

それが日本にとってどうかということは置いておいて、
どちらかが保留にしているこれら7イシューで
ブルネイ、ベトナム、日本が歩調を合わせたら、
知財に関しては3カ国が団結できることになる。

さて、乱暴にもそういうことができたとして、
つぎに立場が近そうなのはチリ、マレーシアになる。

「地理的表示:ブランドを通じた商標の保護」(CL:賛成; BN,VN,JP:反対)
「執行:新刑事法要素」(MY:賛成; BN,VN,JP:反対)
と主張が対立するので、これらをまとめるのは、ちと難しいかもしれない。
けど、マレーシアに折れてもらえたら4カ国がまとまり、
「地理的表示:ブランドを通じた商標の保護」(CL:賛成; BN,MY,VN,JP:反対)
という構図になる。
このイシューでチリにも折れてもらえたら5カ国がまとまる。

そうすると次に近いのはメキシコで、その相違点は、
「著作権:技術的保護手段」(MX:賛成; CL,BN,MY,VN,JP:反対)
「国内法の扱い:TRIPSの……」(MX:保留; CL,BN,MY,VN,JP:賛成)
となる。

この2イシューでメキシコが折れて、
はじめて半数の国が一致という情勢ができる。

ごく単純化された表のうえで考えているだけなのだが、
ここまででも実現は限りなく難しそうだ。

結局のところは、この交渉は参加国が多いうえに、
意見の違うイシューが多すぎるのだ。

なんだかんだいっても、
「おまえの国は、誰が守ってやってると思てんねん、おら〜」
的な、パワーバランスが、最後にはものをいうのだろう。

テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

”ご当地キャラ”はどこへ行く?
先日放送された、
「”ご当地キャラ”はどこへ行く?」
原稿がアップされました。

テーマ : 文明・文化&思想
ジャンル : 学問・文化・芸術

ボストンですべった?くまモンがんばれ
くまモンが去年ぼくがいた街に出没するというので、
その結果を楽しみにしていた。

TBSFNNのニュース映像をみる限り、
ハーバードでの反応はビミョーだったみたい。

映像をみたところ場所はライシャワー日本研究所の建物にある講堂なので、
知日派ばかりだったはずなのだが、
そこはおかたい大学なので、のりはいまいち。

現場にいた友人の話だと、来ていたのはほとんど日本人で、
西洋人系の学生はほんのわずか。
ライシャワーの教員も二人だけだったとか。

どうりでTBSもFNNも、おなじ西洋人学生にインタビューしている。

ボストン中心部での反応もいまひとつだったよう。

ハードパワー信仰の強いアメリカの主流文化からみれば、
ゆるキャラは幼稚なものとしか映らないのかもしれない。

これが経済効果を生んでいるのだといっても、ピンとこないだろうな。

テーマ : 文明・文化&思想
ジャンル : 学問・文化・芸術

日本の雑草(イタドリ)がイギリスを侵食中
さっきBBCでやっていたのだけど、
日本のイタドリという雑草(タデの一種らしい)が、
イギリスで猛烈に繁殖しているらしい。

この雑草はJapanese Knotweedと呼ばれている。

19世紀に観賞用としてイギリスに入ったのが、
最近はいたるところに生えているそうだ。

竹のように敷石や煉瓦、コンクリートまで壊して生えてくるもんだから、
これが入るときれいな庭や散歩道が台無しになるという。
ガーデニング好きのイギリス人には、とても迷惑な植物だ。

Japanese Knotweedが生えている家には住宅ローンが借りられなかったり、
きれいに取り除かれるまでローンを組んでもらえないという話もある。
だから家にこれが生えていると、近所とトラブルになることもあるそうだ。
繁殖力が強いので、根絶するのはたいへんらしい。

Japaneseが付く植物が、迷惑なインベーダーになっているとは、
なんかすみません。

テーマ : 思うこと
ジャンル : 学問・文化・芸術

大英博物館の春画展に来ています
CIMG6522.jpg

大英博物館に来ている。

目的は3日からはじまった春画展、
Shunga: sex and pleasure in Japanese art と
それに関連するシンポジウムに参加するためだ。

勤め先の研究所が所蔵している作品も、
たくさん出展されている。
おなじ職場にあるとはいっても、原物をみる機会はまずない。
はるばるロンドンで、ご対面というわけだ。

春画は、現代の表現規制を考えるのに、いい材料を与えてくれる。

師宣、春信、歌麿、清長、北斎、国芳……。
名の通った絵師はみな、その全盛時代に、
表の絵を描く一方で、
裏で春画も描いていた。

しかし、日本の美術史研究の主流は、
春画を恥ずかしい歴史として、
その存在をなかったことにしてきた。

ここ20年、少しずつ風向きが変わってきたそうだが、
春画への偏見はまだ根強い。

大英でやった日本関係の特別展は、
日本の某国立博物館に巡回する慣わしがあるそうなのだが、
今回のは日本側が断ったそうだ。

関係者がずいぶん努力をしているようだが、
日本でこれをやってくれる博物館・美術館は、まだみつからない。

また、これくらいの大規模の日本関係の特別展が大英であるときには、
日本大使が来て開会の挨拶するものなのだそうだが、
今回は大使は来なかった。

CIMG6531.jpg

こんどの春画展のすばらしい点は、
いままでみたいに絵だけを好奇の視線でみるのではなく、
詞書きを翻訳して、場面の説明をしていることにある。

同僚の専門家によると、春画は日常の性を題材にした、
「あるあるネタ」でクスッと笑ってしまうのが、
本来の楽しみ方なのだそうだ。
だから春画は「笑い絵」と呼ばれていた。

中国や日本の古典からの引用もふんだんにあって、
そうとう教養がないと、理解しきれるものではないようだ。

とはいえ、いかにも保守的そうな大英博物館で、
これを実現した関係者の努力はたいへんなものだったろう。

それでも、展示から排除せざるを得なかったものが、2種類あったという。
ひとつは性暴力の描写。
もうひとつは場面に子どもが登場するもの。

性暴力の場面を描いた春画は、極めて少なく、
専門家に聞いても5〜6作品しか知らないとのこと。
だから、これは削っても大勢に影響はない。
(実際には1点出ていた。)

だけど、子どもが登場する春画は、たくさんあるそうだ。
といっても、それは夫婦の情事をのぞきみしたり、
無邪気にじゃれついてきたりするような表現で、
「こんなこと、あるよなあ」と笑ってみるものであって、
子どもが性的虐待を受けているような絵はないとのこと。
それを排除してしまっては、春画の全体像をみせる展示とはいいがたくなる。
(実際には1〜2点、子どもが描かれたものが出ていた。)

シンポジウムの場で、「それは自己検閲ではないか」と、
主催者に水を向けてみた。
彼は「自己検閲だといえばそうだ」とあっさり認めたうえで、
「性の場に子どもがいる表現は、大英博物館の主流の観客には受け入れられないと判断した」
「このことについては、相当に議論を重ねた」
「図録ではこの問題も論じているので、読んでほしい」と答えた。

情事といっしょに子どもが描かれているだけでダメというのは、
どうも感覚的に理解不能なのだが、
ここの社会では、子どもを性と少しでも関連づけることに、
相当に根強い拒絶反応があるようだ。

そのあたりの文化摩擦が、
現代のマンガ・アニメの表現規制の問題と直結しているように思う。

いずれにしても、大英で春画を取り上げたことで、
NHKをはじめ、日本のメディアもかなり関心を持ったようだ。
西欧のお墨付きに弱いこの体質は何とかならんものかとも思いつつ、
日本に巡回するきっかけにでもなればいいな。

テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術

青空文庫の富田さんを追悼する夜に
残されたぼくたちに、いったい何ができるのだろうか。

そんなことを、考える夜を過ごしている。

青空文庫の創設者ともいえる富田倫生さんが、
短くも熱い生涯を閉じられてから一ヶ月あまり。

これといった答えはみつからないけど、
できることはやっていきたい。


2010年3月21日に書いたブログ。
その「奇跡のひと」は富田さんのことだったと明かして、
哀悼の気持ちを込めて、ここに再掲しておく。



「奇跡のひとと再会」 2010,03/21(Sun)

2年ぶりに友人と再会した。

柔らかさのなかに、
時代を切り開くパワーを持ったひとだ。

2年前、友人は病で死と向き合っていた。
すでに何度も死線を乗り越えていたが、
できる治療は、もうほとんどなかった。

残された方法に望みを託し、
そして、その苦しい治療をも乗り越えた。

奇跡だと思った。

数ヶ月まえ、友人のメールには、
「またどこかで、きっとお目にかかれますよね。」
と書かれてあった。

ぼくは、「またお目にかかりたいです。」と返した。

そして、その願いはかなった。

短かかったけれど、深い時間を過ごした。

別れ際、ぼくは、
「また会いましょう。」
と手を差し出した。

これが最後じゃないことを、約束して欲しかった。

友人はぼくの手を握りしめながらいった。

「また会いましょう。何度でも。何度でも。」

テーマ : 思うこと
ジャンル : 学問・文化・芸術

Winny開発者の訃報
Winny開発者の金子勇氏の訃報に接した。
それを否定する情報はないので、事実なのだろう。

お会いしたことはなかったけれど、何という人生……

弔辞にかえて、
2004年5月24日の京都新聞に載せてもらった文章を再掲しておく。

少し言葉足らずなところや、
いまでは状況が変わったこともあるが、
そのまま再掲しておく。



「強まる一方のデジタル著作権 Winny事件」

 パソコンのファイル共有ソフト「ウィニー」を開発した東大助手が、京都府警に逮捕された。開発者の行為が著作権法違反幇助に問えるのか、逮捕までする必要が本当にあったのか、逮捕の根拠になっている著作権法が、そもそもどういうものなのかについて、議論が広がりつつある。

 この事件で、「ウィニー」による違法なファイル交換が減り、短期的には音楽・映像業界にいくばくかの利益をもたらすかもしれない。しかし、長い目でみれば、今回のような逮捕は、誰の得にもならないだろうと、わたしは考える。

 第一に、「ウィニー」の利用者のことを考えてみよう。一説では、「ウィニー」の利用者数は、日本国内だけで百万人とも二百万人ともいわれている。京都市の全人口にも匹敵する数のひとびとが、違法とされる「ウィニー」でファイル交換をしていたことになる。つまり、それだけの数のひとが、パソコンを使ってファイルを交換するという行動パターンを持っていて、デジタル著作物への需要があるということだ。

 違法なファイル交換がはやるのは、多くの消費者がいまの音楽・映像ソフトの値段を高いと感じているからだ。ソフトの流通が独占的で、利益が「著作者」にではなく、流通の中間にいる「著作権者」に吸収されている実態が、高価格の背景にある。これらの問題に手をつけない限り、消費者の利益、さらには「著作権者」ではない「著作者」の利益は損なわれたままだし、違法なファイル交換への需要は減らない。

 ところが、法律は消費者の利益からかけ離れる方向に、変わっていく。著作権の保護期間は延ばされる一方だし、いまの国会で審議されている著作権法の改正案では、廉価な輸入盤CDまでもが、市場から排除されることになる。

 第二に、権利者のことを考えてみよう。この事件でソフト開発者が萎縮してしまうと、技術のイノベーションや、そこからのあらたなビジネス展開には、あきらかなマイナスになる。最近増えてきた音楽ファイルのダウンロード・サービスにしても、もとは音楽の権利を持たない者が作って成功したものだった。そこに利があるとみた権利者が違法サービスを潰し、似たようなサービスを有料ではじめるという構図を持っていた。つまり、違法とされる行為も、マーケット・リサーチの意味で権利者の役に立ったのだ。

 「ウィニー」は優れたソフトウェアだし、権利をクリアした著作物の共有方法として、あるいは新ビジネスの基盤として、多くの可能性を秘めていると思う。捕まるかもしれないという理由で、革新的なソフトを開発する意欲が鈍ってしまうことが恐い。

 この事件の背景にあるのは、著作権法という法律である。わたしたちは、この法律にもっと敏感にならなければならない。著作権法の改正案は、文化庁の文化審議会著作権分科会の法制問題小委員会で審議されている。ところが、この小委員会は、権利者側の利益を代表する委員が、圧倒的な多数を占めている。

 著作権の保護を定着させようとするならば、著作権のあり方もまた、広く国民のあいだで議論されなければならない。そのようなときに、この委員構成は、本当にわかりにくい。

 事実、ここ十数年の著作権法改正の歴史は、度重なる権利強化の歴史でもあった。「ウィニー」で問題になっている公衆送信権にしても、デジタル時代に備えた権利強化の流れのなかで、平成九年に付け加えられたものだ。

 著作権がイギリスで誕生してからまもなく三〇〇年になる。これまでも、既得権者はいつも「著作者」の権利を後ろ盾にして、できるだけ永く権利を独占しようとしてきた。一八世紀後半にイギリスであった裁判で、著作権の永久独占が否定され、一定年限を過ぎた著作物が公有になることが確立された。その裁判を闘ったのは、なんと海賊版の出版者だった。無法者と蔑まれたひとが、結果的には文化を独占から守ったのだ。著作権をやたらと保護することばかりが文化を守ることではないこと、ときには違法とされる行為もまた文化的な意味を持つことが、歴史の事実としてある。

 この逮捕劇を通して、わたしたちは、ひとつの教訓を学んだ。インターネットは、もはや仮想でも匿名でもなく、そこでの不用意な書き込みを口実にして、現実社会の公権力が介入してくるということだ。今回のことで、ネット社会は変質していかざるを得ないかもしれない。その変質が「成熟」であることに、わずかな期待をかけたい。

テーマ : 思うこと
ジャンル : 学問・文化・芸術

ハーバードの授業見聞記
春学期は、あるジェネラル・エデュケーション(一般教養)の科目を聴講している。

学生の授業負担は、苛酷である。

その科目では、教授による1時間の講義が週に2回、
映像資料のスクリーニングが週1回2時間、
大学院生が担当する少人数のディスカッション・セッションが週1回1時間くらい。

ディスカッションでは、専門論文を毎週3本くらい読んでこなくてはならない。

小エッセイは毎週提出、中間エッセイが1本、グループによる映像制作が1本、
そして最終筆記試験のほかに最終エッセイの提出もある。

一般教養の一科目ですらこれだけ勉強させられるのだから、
他も推してしかるべしだ。

学生はみな勉強に必死だし、頭がいいと思う。
日本の大学でおなじことをしたら、
東大生・京大生でも誰もついてこれないのでは?


教員は日本とくらべて楽そうにみえる。
1学期は13週で、年間2学期だし。
途中にサンクスギビング、クリスマス、イースターなどの休暇が入る。

教授の授業負担は、1週間で6時間程度らしいし、
なんと3年授業したら、つぎの1年は研究休暇をもらえる。
休暇中は給料が半分になるらしいが、
もともと日本の教授の2倍はもらっているので、
経済的にはどうということはないだろう。

ほっといても、いい仕事をしてくれる教員に、
たっぷりの時間と、たっぷりの給料を与えていたら、
そりゃ、世界一の大学にもなるわな。

テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

アメリカぽい日本語・英語
日本語のローマ字をアメリカ人が発音するとこうなる。

Yamada→ヤムエィダァ
Honda→ハンダァ
Mazda→マズダァ
Toyota→トゥヨゥタァ
karate→コロティ
Kazue→カズー
Ieyasu→アイエィアスゥ
Ryu→発音不能

規則を推察するに、
yamみたいに英語にある音節は、それをまず読んでしまう。
Aはしばしば「オ」「エィ」になる。
Oはしばしば「ア」になる。
Iはしばしば「アイ」になる。


日本の学校ではあまり習った記憶はないけど、
アメリカ生活で使わない日がないような表現は、
"How are you doing?"というあいさつ、
"Have a good day!" "You too." "Thank you."という会話。

誰かに向かって話すときに、guysをたくさん入れるとアメリカっぽくなる。
"Have you guys seen the movie?"みたいに。

1年にわたるアメリカ生活も、そろそろおわりです。

テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

片倉もとこ先生、山口昌男先生のこと
ぼくにとって、思い出深い先生方が、あいついで他界された。

片倉もとこ先生は、しばらくまえまでぼくのボスだった。
勤務先の所長になられるまえも、なられてからも、
それほど深いお付き合いだったわけではないが、
少ない思い出のひとつひとつが、とても深いのだ。

ちょっとした献本や情報提供に、
手書きの美しいお礼状を頂戴したり、
仕事でごいっしょしたカイロとミラノでの、
何気ない会話のなかに、
厳しくも暖かい眼差しを感じたりした。

細やかさと豪胆さを持ち合わせた方だった。


山口昌男先生とは、勤務先の研究会などでごいっしょをしていたが、
それよりも学生時代の出会いのほうが、ぼくにとっては貴重なものになっている。

1984年に八王子の大学セミナーハウスであった大学共同セミナーは、
ぼくにいわせれば伝説的な催しだった。
講師陣は、山口昌男、前田愛、佐藤信夫、池上嘉彦といった顔ぶれに加えて、
当時ブレイクしたばかりの中沢新一、浅田彰といった方々が、
2泊3日のセミナーを行った。
それを企画したのが山口昌男先生だった。
ぼくはそれに参加した140名の学生のひとりで、
山口、中沢、浅田の3先生を深夜まで「監禁」して、
楽しく質問攻めにした学生たちのなかにいた。

あの空気を吸ったことが、いまの自分にとって大きな財産になっていると思う。

数年前に病床に伏されてからは、たいへんなご様子ばかりが聞こえてきた。
ご家族はもとより、先生もさぞかしおつらかったのではないかと思う。

おふたりの先生の、ご冥福を祈るばかりだ。

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